多くのネイルサロンやアイサロンのオーナーにとって、ホットペッパービューティーの毎月の掲載料は固定費の中で非常に大きな割合を占めています。「毎月これだけの掲載料を払っているけれど、本当に元が取れているのだろうか」と疑問を感じつつも、集客が止まる恐怖から惰性で契約を更新し続けているケースは珍しくありません。

掲載料の費用対効果を正しく評価できていないと、集客はできているのに手元に現金が残らないという状況に陥ります。感覚や売上高だけで判断するのではなく、利益ベースで厳密に計算し、本当に効果が出ているのかを検証することが経営者として不可欠です。

ホットペッパーの掲載費用対効果を正しく計算する基本式

費用対効果を計算する際によくある間違いが、「ホットペッパー経由の売上合計」と「毎月の掲載料」を比較してしまうことです。たとえば、毎月の掲載料に対してホットペッパー経由の新規客と再来店客の売上合計をそのまま当てはめて比較しても、正確な効果を測定することはできません。

元が取れているかを正しく判断するための基本式は「掲載経由の新規客数×粗利」です。ここでいう粗利とは、施術の売上高から、ジェルやパーツなどの直接材料費、施術担当スタッフへの歩合給や人件費などの変動費を差し引いた金額を指します。

掲載経由でいくら売上が上がっても、施術を行うたびに材料費や施術者の手当てが発生します。売上からこれらの変動費を引いた「手元に残る粗利」の合計が、毎月の掲載料を上回っていなければ、実質的には赤字ということになります。

さらに注意が必要なのは、再来店(リピート客)の予約経路です。すでに自店のファンになっているお客様が、たまたま予約の利便性からホットペッパー経由で予約を入れている場合、それを掲載効果としてカウントしてしまうと費用対効果を見誤ります。本来であれば公式LINEや自社予約システムなど、手数料のかからない経路で予約できたはずのお客様に対して、ポイント還元費用やシステム手数料を支払い続けることになってしまうためです。

したがって、掲載料の元が取れているかを純粋に評価する場合は、まず「掲載経由で獲得した新規客数×新規客の平均粗利」で計算し、その金額が掲載料を超えているかどうかを確認することが基本となります。

プランによる掲載料の違いと集客数の関係

ホットペッパービューティーには複数の掲載プランが存在し、上位のプランほど掲載料が高額になる一方で、検索結果の一覧で上位に表示されやすくなります。多くのサロンオーナーは「新規客を増やしたいから上位プランに上げるべきか」「コストを抑えるために下位プランに下げるべきか」という選択に悩まされます。

上位プランに変更すると、露出度が高まるため閲覧数や予約数は増える傾向があります。しかし、重要なのは「増えた新規客による粗利の増加額」が「プランアップによる掲載料の増加額」を上回るかどうかです。

掲載料が高額なプランに上げたことで新規客が増加しても、その新規客がもたらす粗利の合計が掲載料の差額分以上にならなければ、利益の観点からは意味がありません。売上や客数がいくら増えても、利益が増えなければサロンオーナーやスタッフの作業量が増えるだけで、経営状態はむしろ悪化してしまいます。

反対に、掲載料を抑えるために下位プランへ変更する場合も慎重な分析が必要です。エリア内の競合店舗が多い地域では、下位プランに下げた途端に検索ページの奥深くに埋もれてしまい、新規予約が激減することがあります。掲載料は安くなったものの新規客からの粗利がそれ以上に減少してしまえば、店舗の利益は縮小します。

プランを選択する際は、単に新規客数の予測だけでなく、自店舗の競合環境や客単価、原価率を踏まえ、プランごとの掲載料の差額と見込まれる粗利の差額を比較検討することが重要です。

年間契約のリスクと途中で変更できない前提での判断基準

ホットペッパービューティーの掲載契約は、基本的に1年間の長期契約となります。契約期間の途中で「思っていたほど集客できないからプランを下げたい」「経営が苦しいから途中解約したい」と思っても、原則として契約内容の変更や途中解約は認められません。

そのため、掲載を継続・変更する判断を下す際は、1年間のリスクを織り込んだ上で慎重に行う必要があります。最も集客が良い繁忙期の数字だけで判断してしまうと、閑散期や競合店の新規オープン、スタッフの離職などが発生した際に、高額な掲載料が経営を圧迫することになります。

また、集客枠を広げるために上位プランを検討する際、自サロンの受け入れ態勢(キャパシティ)が本当に不足しているのかを見極めることも不可欠です。予約枠が埋まっているように見えても、原因が店舗の物理的なスペースにあるのか、あるいはシフトなどの人材面にあるのかによって対策は異なります。

店舗の予約状況に関する実データとして、UNELMAが分析した事例があります。

この事例のように、サロン側は「満席で予約を断っているから掲載プランを上げてスタッフを増やそう」と考えがちですが、実際には席自体には余裕があり、スタッフの勤務シフトや予約枠の組み方にボトルネックが存在しているケースが多く見られます。このような状態で安易に上位プランを契約して新規集客を増やそうとしても、実際の施術対応ができず、高額な年間契約の掲載料だけが無駄になってしまうリスクがあります。

年間契約を結ぶ前には、自店舗の現在の稼働制限が何によって引き起こされているのかを客観的なデータで把握し、悪条件が重なった場合でも1年間の掲載料を支払い続けられる体力があるかを冷静に判断しなければなりません。

リピート率と失客率から見る新規集客の本当の価値

新規客の初回粗利だけで高額な掲載料の元を取ることが難しい場合、よく言われるのが「2回目以降のリピート来店による利益で回収すれば良い」という考え方です。確かに、LTV(顧客生涯価値)の観点から見れば、リピートしてくれるお客様を増やすことで掲載料の費用対効果は高まります。

しかし、実際の新規客のリピート率は、多くのオーナーが想像しているよりも低い水準にとどまっているのが現実です。

UNELMAで追跡調査を行った実データでは、以下の実態が明らかになっています。

この数値が示す通り、ホットペッパー経由で獲得した新規客の多くは、2回目の来店に至らず離脱しています。新規客を獲得しても、そのうちの7割から8割近くが1回きりで去ってしまう状態では、新規客の獲得コストを2回目以降の利益で回収するというモデルは非常に効率が悪くなります。

新規集客だけに頼って掲載料を払い続ける状態は、底に穴が開いたバケツに水を注ぎ続けているようなものです。掲載料の元を取るためには、新規客をいくら集めるかという視点と同等以上に、一度来店されたお客様をいかに失客させないか、そして過去に来店が途絶えてしまった休眠客(離反客)にどうアプローチするかが重要になります。

集客コストを抑えつつ利益を確保する施策の実例として、UNELMAによる次のデータがあります。

高額な掲載料を払って新規客を1人獲得するのに比べて、過去に一度でも来店経験のある離反客へのアプローチは、獲得費用を大幅に抑えながら確実に再来店を促すことができます。

ホットペッパーの掲載料が元を取れているかを評価する際は、新規獲得数だけに目を奪われるのではなく、店舗全体の失客率を把握し、既存客や離反客に対する施策と組み合わせた上で、トータルの費用対効果を見極めることが経営改善への近道となります。

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