曜日ごとの稼働状況を正しく測定する

サロンの経営において、特定の曜日や時間帯に予約が集中し、平日の昼間などに空き枠が目立つという悩みを抱えるオーナーは少なくありません。いわゆる曜日の谷と呼ばれるこの稼働の落ち込みは、店舗の収益性を圧迫する大きな要因となります。多くのサロンでは、平日の予約が埋まらないことを理由に、安易な値引きや大規模な新規集客キャンペーンに走りがちです。しかし、対策を講じる前に最初に行うべきことは、感覚に頼らず、曜日ごとの正確な稼働状況を測定することです。

オーナー自身が「平日は暇だ」と感じていても、実際にデータを集計してみると、特定の時間帯だけは埋まっていたり、逆に満席だと思っていた土日にも無駄な空き時間が生じていたりすることがあります。予約表の空き枠を単に眺めるのではなく、施術枠に対して実際にどれだけの施術が行われたのかという稼働の割合を算出することが重要です。

UNELMAの支援実績においても、オーナーの認識と実際の稼働状況に大きなズレが存在することが分かっています。実際に、席が3つの店で席が全部ふさがっていたのは月5.0時間=施術のあった時間の1.6%だけで、本当の制約はスタッフの出勤時間だったという事例があります。サロン側が「席が足りない」「これ以上予約が入らない」と思い込んでいたとしても、詳細に分析してみると、物理的な席の問題ではなく、スタッフのシフト配置や勤務時間が予約枠の天井を作っていたというケースは珍しくありません。

このように、稼働の谷を解消するためには、まず自店の「満席」の定義を見直し、どの曜日のどの時間帯にどれだけの余剰枠が存在しているのかを数値として正確に把握する必要があります。現状の正確な測定なしに効果的な対策を立てることはできません。

谷の曜日に来店できるお客様の像を絞り込む

曜日別の稼働データを計測し、どの時間帯に空き枠が集中しているかが明確になったら、次に行うべきはその「谷の日」や「谷の時間帯」にご来店いただけるお客様像を極めて具体的に絞り込む作業です。

平日の昼間や夕方の浅い時間帯など、予約が埋まりにくい時間帯にサロンへ足を運ぶことができる人はどのような生活習慣を持っているでしょうか。土日祝日に働くシフト制の職種の方、夜勤のある仕事に従事している方、小さなお子様が学校や幼稚園に行っている間の時間を活用したい主婦層、あるいはリモートワークで柔軟に時間を調整できる方などが考えられます。また、ネイリストだけでなくアイサロンを併設している店舗であれば、メニューの施術時間や周期に合わせて来店可能な層も変わってきます。

集客のメッセージを発信する際、「平日の予約受付中」といった抽象的な案内では誰の心にも刺さりません。「平日の午前中に自分時間を確保したい方へ」「シフト休みのお客様に合わせた予約枠のご案内」というように、その時間帯に来店可能な生活パターンを持つターゲットに向けて言葉を届ける必要があります。

また、平日の集客を考える際、多くのオーナーは新規客の獲得ばかりに目を向けがちです。しかし、新規客だけに依存する集客構造には大きなリスクが潜んでいます。UNELMAのデータによると、ある月の新規客のその後を追うと、2回目に来た割合は14〜36%で、67〜79%が失客していたという厳しい現実が明らかになっています。

新規客を獲得しても、その多くが一度の来店で離脱してしまう状態であれば、平日の空き枠を埋めるために永続的に広告費を払い続けなければなりません。谷の曜日を安定して埋めるためには、新規客の獲得と並行して、すでに自店の施術やサービスを知っている既存客や過去にご来店されたことのあるお客様に対して、平日の時間帯を提案するアプローチが極めて有効です。

値引きに頼らず時間帯の提案で動かす

平日の稼働を高めようとするとき、最も手軽で選ばれやすい手法がクーポンや時間帯限定の割引といった値引き施策です。しかし、価格を下げることによる集客は、短期的には予約表を埋めることができたとしても、長期的にはサロン経営に深刻な悪影響を及ぼします。

値引きによって集まったお客様は、「そのサロンの技術や雰囲気に魅力を感じて来店した」のではなく、「価格が安いから来店した」という理由が強くなります。そのため、正規料金に戻した途端に来店しなくなったり、さらに安い他店へ流れてしまったりする傾向が顕著です。また、値引きによって利益率が下がると、スタッフの労力に対して十分な成果が得られず、サロン全体の疲弊につながります。

平日の谷を埋めるために必要なのは、価格を下げることではなく、お客様にとっての「その時間帯に通う価値」を言語化して提案することです。値引きではなく時間帯の提案で動かすという視点が欠かせません。

例えば、混雑する土日を避けてゆっくりと過ごしたいお客様に対しては、「平日の静かな店内でリラックスして施術を受けられる体験」という価値を提案できます。また、休日は家族やプライベートの予定で忙しいお客様に対しては、「平日の隙間時間を活用して身だしなみを整えることで、休日は思い切り自分の時間を楽しめる」というライフスタイル上のメリットを伝えることができます。

こうした提案を届けるべき対象として、特に効果的なのが過去にご来店経験のある離反客です。しばらく来店が途絶えているお客様の中には、サロンに不満があったわけではなく、単に予約のタイミングを逃していたり、子育てや仕事の環境が変わって従来の土日予約が取りづらくなったりしたケースが多く含まれています。

UNELMAの実際の事例として、離反客476名へ配信して3日で再来が10.5名増え売上35,924円増(反応率2.20%。配信していない他店を差し引いた実測値)という成果を出した実績があります。過剰な割引を提示しなくても、適切なタイミングとメッセージで時間帯や予約の枠を再提案することにより、休眠していたお客様が再びサロンに足を運んでくださるようになります。

平日の稼働を平準化するための運用プロセス

平日の稼働率を向上させ、曜日による売上の波を平準化していくためには、単発の取り組みで終わらせない継続的な運用プロセスを構築することが重要です。日々の業務の中で実行できる具体的な手順を整理しておく必要があります。

過去の予約データを曜日別および時間帯別に集計します。どの曜日のどの時間帯が平均して空いているのか、どの時間帯が常に満席状態にあるのかを可視化します。この際、前述の事例のように「席数による制約」なのか「スタッフの出勤体制による制約」なのかを見極めます。

空いている時間帯にアプローチすべきお客様の属性を設定します。シフト勤務の方、主婦の方、リモートワーカーなど、自店のエリアや客層に合わせたターゲット像を具体化します。

ターゲットに向けたメッセージを作成します。単なる空席情報ではなく、その時間帯に来店することで得られるお客様側のメリットを強調します。静かな環境での施術や休日時間の有効活用など、生活に寄り添った提案を行います。

配信後は必ず結果の検証を行います。どれだけの予約が入り、どの時間帯が埋まったのかを測定します。新規客の獲得状況だけでなく

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